つながれっとクラブ・イベントジャーナル

「つながれっとクラブ」は、名古屋市男女平等参画推進センター(つながれっとNAGOYA)指定管理者 NPO法人参画プラネットが運営しています。
つながれっとNAGOYAで毎月開催される指定管理者 NPO法人参画プラネット主催のイベントの様子をみなさんにお届けいたします!
(当サイト中、意見にわたる部分については筆者の個人的意見であって、参画プラネットの見解を表明したものではありません)
講演会 報告:「労働ダンピング」
労働の市場化が進み、労働を「消費物件」として扱う傾向が社会にあふれている。
労働を商品化・モノ化して扱うことによって、雇用機会の保障(憲法27条1項)や
労働条件の最適基準の保護(憲法27条2項)が遵守されていない社会になってきている。

そうした社会背景をふまえ、弁護士であり『労働ダンピング』(岩波新書)の著者である、
中野麻美さんを講師としてお招きして講演会を開催した。

まず、中野さんのレジュメの一部を紹介する。

第1 格差社会

第2 非正規雇用化〜その質的転換

第3 格差を利用した正規雇用の買い叩き〜雇用の液状化

第4 非正規雇用化・雇用の買い叩きは産業と社会を衰退させる

第5 労働法制を読み解く座標軸

第6 市場原理主義と規制緩和に対する対抗軸

2時間にわたる講演は、「なるほどと思える理論」と
「身近にもある事例」がぎっしり詰まった内容であった。

非正規雇用と正規雇用のどちらもが、労働市場にあっては苦境に立たされていると話されたことが重要ポイントの一つ。

また、労働の場で公正に処遇されない場合や敵対関係がる職場では、フラストレーションにより生産性が低下しストレスの増大やハラスメントが横行する事実もあり、それ自体が企業の損失であると話されたことも重要ポイントであろう。

今後は、非正規雇用者の実態解明に向け、さらに一歩踏み込んだ家計調査を実施されるとのこと。

液状化してしまった雇用がカタチを整えて表れるのには、時間がかかる。

10代から60代までの参加者…それぞれが自らの問題として考える機会を得ることができた。
中野さんは、このような状況であっても「絶望」することなく「希望」から…最後にそうしめくくられた。

労働ダンピング―雇用の多様化の果てに
労働ダンピング―雇用の多様化の果てに
中野麻美(著)
| tsunagaletclb | 講演会「労働ダンピング」 | 23:50 | comments(0) | - | - | - |
講演会 感想:「労働ダンピング」
「労働ダンピング」の講演会、交流会に参加しました。
交流会では、中野さんが弁護人をされている「兼松女性差別裁判」の原告の方のお話をお聞きした後だったこともあり、ふと思い出した自分の入社当時のことをお話させていただきました。

私が入社したのはバブル期です。採用はコース別に行われ、総合職、一般職と区別されていました。私が入社したころはまだ女性の総合職はひとりも存在してなかったです。今でも忘れられないのが、入社前の人事部との面談で「女性の仕事はたいてい2〜3年もすれば熟知していまい、ある意味飽きてきてしまうかもしれません・・・。ですからその程度を目処に後進に道を譲ってください。」と言われたことです。本当にショックでした。帰ってから父にその衝撃をストレートに伝えたのを記憶しています。父からは「経営者はそういうものだから気にしないで入社しなさい」と言われました。
実際入社してみると、自分が想像していた入社2、3年の女性社員ばかりの職場ではありませんでした。定年が近い方や子どもを持ちながら働いている方もいました。しかし会社側からすれば、そういった年配の女性社員は労働組合活動にも積極的で疎ましい存在に他ならなかったのでしょう。ですから女性を育てるというよりは出来るだけ早く循環させるという経営方針のもと、入社したての、なにもわからない時期に「出来るだけ早く会社をやめるのがよい。長く働くのは好ましくない」といった雰囲気を作り出そうとしていたのだと思います。
また賃金交渉の際は、男女それぞれに業界での比較をして、「業界における一般職(女性社員)給与は他社と遜色ないし、また一般的給与水準からすればはるかに良いレベルにあります。なにか不満ありますか?」といったことを前面にだしていました。確かに給与とすれば悪くなかったので、なかなか男女間(総合職と一般職)の格差をターゲットにしようとする動きは、私たちの年代からはでてこなかったのだと思います。
中野さんが講演会の中でもしきりにお話されていたように、「コースが違うから仕方ない」と自分を納得させることも度々。そのひとつが入社してからの様々な研修です。いままで学生時代は教育の機会は均等であったのに、会社に入ってコースが違うとまったく蚊帳の外。「女に知識は必要なし」とまでは言わなくても、それぐらいの扱いでした。総合職(主に男性)は研修費として会社負担ですが、仮に一般職(女性)が受講するとなると受講料は実費でした。当然男女間の能力の格差は出てきます。同じような大学を卒業しているのに、男性の方がはるかに実力がついていくのがわかりました。でもコースが違うし、それを選択したのは自分なんだから仕方ないと思ってきました。
 悔しい思いもした会社でしたが、多くの方と出会い、多くのことを学び、自分を成長させてくれた10年間でもあったことは確かです。10年間で少しずつ社内の雰囲気も変わりました。入社当時は3年くらい勤めて結婚退職という人が多かったですが、そのうち結婚後子どもが出来るまでは勤める人が多くなりました。最近出産した私の同期は現在「育児休業中」です。もちろん所属部署にもよるらしいのですが、当然の権利として行使できる雰囲気が出来てきたようで、たくさんの方が取得する状況になってきたとのこと。うれしい限りです。

中野さんの著書『労働ダンピング』を最初に読んだときは、いったい今後の雇用状況はどんな方向にいくのかと、正直真っ暗になりました。いったん家庭に入ってしまった私はどうやって再チャレンジすればよいのかと・・・。しかし講演の最後に「一足飛びに変えられるものではない。一歩一歩。希望はあります。」といった趣旨のことをお話されていました。私が約20年前に就職したころに比べれば、女性が働きやすい仕組みも出来てきたと思います。それと同じように、10年、20年後にどんな職種であろうと、どんな働き方であろうと、その仕事の対価に見合う公正な処遇がされ、安心して働ける雇用環境になっていることを望みます。そのために私にできることはあるのだろうか?と考えさせられるきっかけになった講演会、交流会でした。
(深井希代)
| tsunagaletclb | 講演会「労働ダンピング」 | 22:30 | comments(0) | - | - | - |
講演会 感想:「労働ダンピング」
「労働ダンピング」の講演会・交流会。
わたしはスタッフとして、イベントに関わりました。

残念ながら講演会の全てを聞くことはできませんでしたが、
会場全体から、熱意を感じた2時間でした。
わたしの印象に残ったのは、次の言葉。
「人間の1日(24時間)のうち、本来8時間は「睡眠」、
8時間は「労働」、そして8時間は「余暇」のためにある。
ところが今の日本では、労働が8時間を大きく超えていて、
その分、余暇・睡眠が削られている状況である。
(平均して、男性より女性のほうが睡眠時間が少ないというのも
ちょっとショックでした)
そして、余暇の時間が減少するとき、中でも先に削られていくのが、
実は「社会的・政治的な活動」に使う時間。
現在の市民は、社会問題や政治に関心が薄くなっているというが、
それは労働条件の過酷さ、生活のゆとりのなさからもくる」という部分でした。

わたしのこととして照らしても、
自分の生活に余裕のないとき、他者に関心が向きにくくなり、
さらに、生活に長期的な視野が持てないときには、
どうしても関心ごとは「今、ここ」だけのことに集中してしまう。
社会を、世の中をどうすべきか、広い視点で考える余裕などなく、
世の中の他者の状況、自分よりも厳しい状況にある人たちへの
配慮や関心さえ薄れていく。

労働とは、人の生活を根底で支えるもので、
生活をゆとりあるものにする為のものであるはず。
それが、今は逆にどんどんと
「人間らしい生活」を奪うものになっているという現実を
改めて目の当たりにした気がしました。

しかし、それでも希望があることを実感したのは、交流会の時。
本当にいろいろな立場の方が参加してくださったことに感激し、
また、それぞれの発言をひとつひとつ、興味深くうかがいました。
やはり自らの状況を、あきらめずにどんどん言語化し、
仲間と議論し、外へ向かって発信し続けること。
ネットワークをつくって、支えあうこと。
それが、力と変化につながっていくんだなと感じた時間でした。
(中村奈津子)
| tsunagaletclb | 講演会「労働ダンピング」 | 22:00 | comments(0) | - | - | - |
イベント写真「労働ダンピング」
4月28日に行われた「労働ダンピング」
たくさんの方々に参加していただきました。ありがとうございました。



カメラ講演会のようす:中央は、講師の中野麻美さん
労働ダンピング1

労働ダンピング2

カメラ交流会のようす
労働ダンピング3

労働ダンピング4
| tsunagaletclb | 講演会「労働ダンピング」 | 20:00 | comments(0) | - | - | - |
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