2008.11.30 Sunday
講演会 報告:「被害者の経験に学ぶ、ドメスティック・バイオレンスの構造」
タイトル | 講演会 「被害者の経験に学ぶ、ドメスティック・バイオレンスの構造」 |
講師 | 加藤 洋子 |
と き | 2008年11月30日(日曜日)午後1時30分から3時30分 |
ところ | つながれっとNAGOYA 交流ラウンジ |
プランなごや21 | 目標2:女性の人権尊重 |
コーディネーター | 中村奈津子・堀 紀美子 |
11月30日、女性への暴力をなくすための講演会「被害者の経験に学ぶ、ドメスティック・バイオレンスの構造〜共感から行動へつなげるために〜」を開催しました。
講師は、加藤洋子さん。現在アメリカ・マサチューセッツ州でDV防止活動に携わる彼女は、ご自身がDV被害者として離婚をし、シングルマザーとして働きながら子育てをされたのち、1993年に次女とお孫さんをDV殺人により失っています。講演の冒頭に、お二人の笑顔の写真をスクリーンで拝見したとき、彼女がそこからDV撲滅に立ちあがり、現在に至るまでの道のりで対峙してきた痛みの大きさと、活動への強い信念を感じ、わたしは胸が塞がる思いでした。
会場には100名を超す参加者があり、約1時間半、熱心に耳をかたむけていらっしゃいました。加藤さんはデータと事例を挙げながら、アメリカでのDVの現状と、DVの経験が被害者本人やその子どもにどう影響しているのかという話をされ、DVが会社や学校などの生活の場面で、あるいは子どもや高齢者といった人々の立場の中でどのように現れ、どのように対策が取られているのかについても語られました。支援においては教師、保育士、医師などDVに気付きやすい立場の人への教育と、警察や学校、病院、裁判所など関連機関の連携・協力が、DVへの適切な対応と防止につながるとのお話は、非常に納得できるものでした。
その後30分ほどの質疑応答にも、現在支援の立場にいる方、過去の被害当事者としての体験を振り返って質問される方など、様々な立場の方からの質問が相次ぎました。加藤さんはそれらの一つ一つに心をこめて返答をし、時に語気を強めてまっすぐな視線で語り、「わたしの願いは、DVについて一人でも多くの方に知っていただくこと。わたしがたまたま日本人であるということで、こうして迎えていただけるのだから、日本の皆さんへ話す機会も大切にしたい。消えることのない怒りと悲しみ、やりきれない思いを前に進む力に変え、一人でも同じ悲しみを経験しないことを願って、自分が生きている限り、DVを減らすために伝え続けたい。いつか二人のもとに行くときに、きっと“よくやったね”と言ってもらえる、そのためにも」という内容で、話を結ばれました。会場から自然に生まれた拍手の中、彼女の生きる姿勢と、参加者に向かう加藤さんの受容の姿勢にも心を打たれた講演会でした。
今回、改めてこうした取り組みが必要とされる社会を思い、途切れることのない発信が必要であることも感じました。名古屋で加藤さんの講演会を開催できたことを、心から感謝しています。ご参加くださった皆さま、加藤洋子さん、それから関係者の皆さま、どうもありがとうございました。
(中村奈津子)