つながれっとクラブ・イベントジャーナル

「つながれっとクラブ」は、名古屋市男女平等参画推進センター(つながれっとNAGOYA)指定管理者 NPO法人参画プラネットが運営しています。
つながれっとNAGOYAで毎月開催される指定管理者 NPO法人参画プラネット主催のイベントの様子をみなさんにお届けいたします!
(当サイト中、意見にわたる部分については筆者の個人的意見であって、参画プラネットの見解を表明したものではありません)
報告:講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」
タイトル 講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」
と き 2011年1月8日(土曜日)午後1時30分から3時30分
ところ つながれっとNAGOYA つながれっとNAGOYA 交流ラウンジ
プランなごや21 目標6:国際社会における男女共同参画
6−1 世界の女性をとりまく問題の理解と国際協力・交流の促進
コーディネーター 大脇加奈子

 1月8日(土)に、講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」を開催しました。
最初に、ジェンダークイズが出題されました。「非識字者は世界に9億人いるが、そのうち女性の割合は?」、「財産・資産について、女性が所有している割合は?」等です。それぞれの回答から、自分の予想した答えとの違いに驚きの声をあげている参加者も多く、世界の女性がおかれている立場の過酷さが汲み取れました。
 本題にはいり、JICAの組織体制の概要や、組織自体のジェンダーへの取組みについて、さらに、JICAが行う協力事業におけるジェンダーへの取組みについての説明が続きました。JICA職員さえ、プロジェクト開始時にはジェンダーを意識することの大切さに気づいていなかったといいます。例えば、農作業の7割は女性の仕事であるのに、研修は男性のみに対して行い、指導後しばらくして様子をみにいくと、どこも失敗に終わっている。夫は「畑は妻の仕事だ」といい、妻は夫からきちんと指導を伝授されていない。これが、現実でした。プロジェクトをデザインする前に、その地域のジェンダー役割についてしっかり調査することの重要性を認識していったそうです。
 JICAが製作したDVDを鑑賞し、現地の様子を見て、生の声を聞きました。プロジェクトのモデル地区では、世帯収入が増え、夫は妻の見方が変わり、妻は家族内で自分の意見を言えるようになったとのこと。男性も女性も今が幸せと話しています。途上国でジェンダー平等を基に事業を進めることにより、様々な成果が生まれ、現地の方もそれを実感しているようです。この成果が広がれば、地域自体のジェンダー観が変わり、貧困削減や識字率向上などにつながっていくはずです。
 「開発」と「ジェンダー」、この二つの言葉、初めは全く結びつきませんでしたが、今回の講演で理解でき、その二つの結びつきの重要性を改めて認識しました。

(大脇加奈子)
| tsunagaletclb | 講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」 | 23:55 | comments(0) | - | - | - |
講演の内容から:ジェンダークイズ

講演の冒頭で、田中さんが出題したジェンダークイズです。
あなたも挑戦してみてはいかがでしょうか。

第1問.世界で貧困に苦しんでいる13億人の人口のうち女性の割合はどのくらいでしょうか。
A:50%   B:60%   C:70%

第2問.世界中で、スラムのような劣悪な居住環境で生活している女性の割合はどのくらいでしょうか?
A:25%   B:33%   C:50%

第3問.世界の労働者人口のうち、女性の割合はどのくらいでしょうか(2008年)?
A:33%   B:40.5%   C:50%

第4問.世界中の男女の合わせた収入を100円とすると、そのうち女性の収入はどのくらいになるでしょうか?
A:10円   B:30円   C:50円

第5問.世界の財産・資産について、女性が所有している割合はどのくらいでしょうか?
A:1%   B:15%   C:25%

第6問.読み書きや基本的な計算ができない人(非識字者)は、世界で9億人いると言われています。その中で、女性の割合はどのくらいでしょうか?
A:3人に1人   B:2人に1人   C:3人に2人

第7問.世界には、学校へ通えない子どもがたくさんいます。その中で、学校へ通えない割合が高いのは、女子と男子どちらでしょうか?
A:女子   B:男子   C:同じくらい

第8問.世界中で、男性の国会議員よりも女性の国会議員の方が多い国は何カ国あるでしょうか?
A:0カ国   B:5カ国   C:10カ国

第9問.1981年〜2002年の間に世界の141ヶ国において起きた災害時及び復興時において:
A:男性の死亡者のほうが女性より多かった   
B:男性も女性もほぼ同数の死亡者だった   
C:女性の死亡者のほうが男性より多かった

第10問.開発途上国でジェンダー平等を進めると、どのような成果につながるでしょうか?
A:貧困削減につながる   
B:持続的開発につながる   
C:災害のリスクを削減できる   
D:世帯の収入を増加させる   
E:これら全てにつながる


(解答)
第1問)C:70% 
第2問)B:33% 
第3問)B:40.5% 
第4問)A:10円 
第5問)A:1%
第6問)C:3人に2人(6〜7割) 
第7問)A:女子 
第8問)A:0カ国 
第9問)C
第10問)E

| tsunagaletclb | 講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」 | 23:40 | comments(0) | - | - | - |
感想:講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」

 「世界の財産・資産で、女性が所有しているのは・・?」その占める割合の低さに驚いた冒頭のジェンダー・クイズ。そして最後の問いは、「開発途上国でジェンダー平等を進めるとどのような成果につながるか?」

 JICAの協力事業におけるジェンダーへの取り組みは、開発におけるジェンダーアプローチの世界的な流れを受け、1970年代にはWID(開発を進めるために女性の能力を向上させる)、1980年代から1990年代には、GAD(構造的なジェンダー格差への対応とエンパワメント)、1995年以降はジェンダー主流化アプローチの推進、2000年以降はMDGs国連ミレニアム宣言によりジェンダー平等と女性のエンパワメントと変化し、現在は、「人間の安全保障とジェンダー(紛争 DV 貧困 災害等) 」「グローバル化する世界の中で連鎖するジェンダー課題(無償ケアワーク、人身売買、児童虐待等)」が新たな課題となりつつあるという。JICAでは、自らの組織内にジェンダー主流化推進体制を整備し、啓発等を行いながらジェンダー視点を反映させたジェンダープロジェクト(案件)を継続して実施している。途上国のジェンダー主流化プロジェクトを進めるためには、支援するJICA組織自身もジェンダー意識を変えていくことが必要だという。

 カンボジアやアフガニスタン、ナイジェリアで行われたジェンダープロジェクトの事例が紹介された。エンパワメントに関心のあるわたしには、各プロジェクトの取り組みと女性、妻と夫、地域等の変化の様子が興味深かった。その内容をいくつか挙げてみると、
★植林する木の種類の選択に女性の意見を反映して、女性の家事労働(薪集め)が軽減した。
★女性が収入を得て世帯収入が増えると、ペンやノートを買うことができるようになり、子供が楽しんで勉強することができるようになるなど地域への影響も現れる。
★世帯単位のプロジェクトや地域を対象としたプロジェクトでは、研修等への男女参加比率を50:50とする、農作業の多くを担う女性を直接訓練する、地域で広める工夫など男女双方への効果が考えられる仕掛けが検討・実施されている。
★女性が世帯内の意思決定に参加するようになり、家計の配分などを相談し適切な配分が可能となった。 
★女性のエンパワメントには、女性センター(WDC)の活性化が注目されており、増築や新築、予算の増額などの動きが出てきている。また、WDCに女性が通えるようなジェンダー視点での支援も行われている。

 現地でのプロジェクトの様子を写したDVDに登場した、ジェンダーを理解したことでお互いの理解が進んだと笑顔で話すご夫婦や家事への男性の参画や夫婦間の理解が進んだという報告などから、文化や伝統のちがう国でその地域に即したジェンダー主流化を促進する支援が地道に進められ、成果をあげているのだと感じる。
「そうだ!」冒頭のジェンダー・クイズが頭に浮かんだ。「ジェンダー平等を進めると、貧困削減と持続的開発、災害のリスク削減、世帯収入の増加、これらすべてにつながっていく」

 途上国と日本。社会や女性が置かれている状況は、随分違うだろう。しかし、日本においてもジェンダー主流化を促進していくことは大きな課題である。つながれっとNAGOYAにもナイジェリアの女性たちが研修に訪れた。地球規模のつながりから身近な暮らしを振り返る機会となった。
(林 やすこ)

| tsunagaletclb | 講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」 | 22:00 | comments(0) | - | - | - |
写真:講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」


講演会の様子





講師の田中由美子さん



 
| tsunagaletclb | 講演会「JICA田中由美子さんが語る、開発と女性」 | 20:55 | comments(0) | - | - | - |
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