つながれっとクラブ・イベントジャーナル

「つながれっとクラブ」は、名古屋市男女平等参画推進センター(つながれっとNAGOYA)指定管理者 NPO法人参画プラネットが運営しています。
つながれっとNAGOYAで毎月開催される指定管理者 NPO法人参画プラネット主催のイベントの様子をみなさんにお届けいたします!
(当サイト中、意見にわたる部分については筆者の個人的意見であって、参画プラネットの見解を表明したものではありません)
報告:新女性学講座「女性たちの現在」
タイトル 新女性学講座「女性たちの現在(いま)」
と き 2011年9月10日(土曜日)11日(日曜日)午前10時から12時 午後1時から3時
ところ つながれっとNAGOYA 会議室
国の基本計画との関連 第2分野:男女共同参画視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革
第11分野:男女共同参画を推進した多様な選択を可能にする教育・学習の充実
名古屋市基本計画との関連 目標2:男女平等・男女の自立のための意識改革
Ω把蠹性別役割分担意識の解消に向けた啓発・相談
男女平等参画推進のための調査研究及び情報収集
┳惺擦砲ける男女平等教育の推進
地域・家庭における男女平等教育の推進
コーディネーター 高島由美子


「新女性学講座」の「新」に込められた意味とは何だろうか?

 新女性学講座『女性たちの現在(いま) 「女(わたし)と「女/母(わたし)」の間』は、連続4回の2日間集中講座である。第一話 『ウーマンリブの母性神話崩し』、第二話 『「女の時代」の母たちの「自分探し」』、第三話 『「母・娘問題」が映し出す自立不全の世代連鎖』、 第四話 『「女・女格差」と女性のマルチキャリアパス・モデル』というテーマを追いながら、アラサー、アラフォーやおひとりさま、大人かわいいなど、「女(わたし)」をあらわす言葉をキーワードに、男女共同参画社会はどこへ向かうのか、その中で女性たちの存在はどこにあるのかを探る。

 一日目は、資料「戦後60年 日本社会の女性の現在を確認する見取り図」をもとに、各時代に発生したキーワードで、社会状況と女性を取り巻くさまざま問題を取り上げて、戦後から現在までの流れを追った。
 戦後復興から高度成長へと社会が急激に動いた1950年代は、父、母、子ども2~3人という形態の「55年体制家族」という家族モデルができあがり、「男は外で働き、女は家を守る」中で専業主婦規範が作られた。憲法で男女平等が定められても、日本型性別役割分業という形で家父長制は残った。1970年代、ウーマンリブから女性学運動へと「女の時代」がやってくる。しかし、自立をもとめながらも主婦たちは家庭からトラバーユしきれず、その夢を自分の娘に期待する。そのような母と娘の関係を『母・娘のナラティブー愛着と分離のはざまでー』(河野貴代美著)を読みながらひも解く。1980年代、1990年代には、女性に関わるさまざまな問題が社会問題と認識され、法や制度が整備されていく中で、ひきこもり、非正規雇用、女女格差、ワーキングプアという新たな問題が発生し、ジェンダーの再配置が起きている。さらに「やおい」化する現代の若い女性たちを取り上げて、二次創作表現の中で、見られる性から見る性への変貌に、金井氏は「女の性的欲望が“やおい”の中に垣間見られるのではないか」と説く。

 二日目は、受講生から問われた「母性」とフェミニズムの関係について、議論を交わすことから始まった。「母性」を切り離すことで女性の自立を求めてきたフェミニズムに、金井氏は、なぜあえて「母」を立てるのか。結論は講義を進める中でそれぞれが出すこととし、講義は続いた。
 新自由主義やグルーバル経済社会において、男女共同参画がどのように進んでいくのか、「女性のキャリア・パス・モデル」をキーワードに、女性研究者支援政策を事例に挙げながら、その危険性を説く。かつての高度成長時代、女性は安易な調整弁として労働力を求められた。そして、今、日本型雇用柔軟政策において、女性研究者が専門的な能力を持つ労働力でありながら、「雇用柔軟型」の働き方を受け入れやすい労働力として「専門能力活用型」のターゲットになっている、と指摘する。女性が求めてきた自立が果たして、国や企業の動きと同じ方向を向いているのかというのが、金井氏の問題視しているところであろう。
 最後は、キーワードから読み取れる分析をもとに、現在の女性と男性の位置関係に焦点をあてる。押し上げられ上昇する女性たちがいる一方で、満足な職も得られない女性との格差は拡大している。男性もまた日本型終身雇用が崩れ、非正規・フリーターと押し下げられる男性が出現し、その格差も広がっている。男性優位・女性劣位という非対象な構図から、男女の性差だけでなく、さまざまな要因が絡み合い、複雑に格差が再生産されていく現在の構図がある。
 ところで、なぜ金井氏は女性をめぐる時代のキーワードに着目するのか。金井氏は「言葉が獲得されたときに社会問題化する」と言う。DVやセクハラなど、言葉を手にしたことで、自分の問題が社会構造の中で起こるべくして起こったことだと認識できたことは多い。一つひとつは個人をあらわす言葉であるが、「個人の問題は社会の問題である」とすれば、「女(わたし)」を表す言葉からその時代に横たわる社会問題が見えてくるはずである。
 そして、金井氏が投げかけるのが、「女(わたし)」の自立を求めた女性たちの娘世代の存在である。リブ、フェミニズムの時代から40年。当時を生きた女性たちの娘世代が今、同じ年齢に達している。果たしてフェミニズムは、次世代につなげていくことができているのか。「女/母(わたし)」と女にあえて「母」を立てた金井氏の問題提起はそこにあるのではないか。

 ふんだんな資料と文献を使用した講座は、まるで大学の講義のようだった。フェミニスト哲学の第一人者と言われる金井淑子氏の、時折挿入される「自分語り」に氏の人間らしさを垣間見ることもでき、この2日間は実に贅沢な時間だった

<企画担当者として>
 昨年度、東京都渋谷区女性センターアイリスで金井淑子さんを講師に「新女性学講座」が開催されたという情報を得て、私はたいへん関心を持ちました。『女性学の練習問題』(1991年)、『女性学の挑戦 家父長制・ジェンダー・身体性へ』(1997年)、『異なっていられる社会を 女性学/ジェンダー研究の死角』(2008年)と、それぞれの時代で女性学を論じてきた金井さんが「現在(いま)」をどう捉えているのか、ぜひ生の声で聞いてみたいという願いがかない、今回の講座が実現しました。最初に講座を企画された渋谷区女性センターアイリスと名古屋に来てくださった金井さんに感謝いたします。
 市民に人気があるヨガや趣味的なものに男女共同参画を組み入れた変化球的な手法も広げるためには必要ですが、本当に関心のある人のために、直球でずばっと「女性学」の講座も必要だと考えていました。むしろ、男女平等参画推進センターだからこそ求められるべきだと。今回その狙いは的中し、はるばる遠方から受講してくださった方は一人二人ではありませんでした。関心を持った者同士の講座では、その密度も濃くなります。今回は受講生同士が議論をする時間は十分とれませんでしたが、受講生がそれぞれ持ち帰った「問い」を、またいつか金井さんを交えて議論できる機会を持ちたいと願っています。(事業運営局 伊藤静香)

| tsunagaletclb | 新女性学講座「女性たちの現在」 | 23:58 | comments(0) | - | - | - |
担当者感想:新女性学講座「女性たちの現在」

 9月10日、11日の2日間、立正大学教授金井淑子さんをお招きし、新女性学講座『女性たちの現在(いま)「女(わたし)と「女/母(わたし)」の間』を開催しました。
9月も中旬にさしかかろうとしているのに、夏が戻ってきたようなとても暑い日でした。


女性学やフェミニズムに関心の高い方が多く受講ざれていて、真剣な面持ちで講義に聞き入る姿が見られました。講師の話に大きくうなずいたり、絶え間なくメモを記す様子もあり、担当者として後ろから見ていた私には、受講者が真摯に講座に取り組む姿勢が伝わってきました。


講師の金井先生は、長年取り組んできた研究を、溢れ出す言葉で惜しみなく語ってくださいました。急速に変化する社会状況から生み出される問題点や課題を即座にキャッチし探求し続ける姿には、金井先生の止まることのない研究者としての活力を感じました。金井先生は「反論があればどんどん受け付けます。」と言い、それに対し率直に疑問点を伝える受講者とのやり取りは、熱のこもったものでした。


家族問題を語るとき、金井先生は、時折ご自身の家族関係や経験を話してくださったので、説得力があり共感できました。また、相手に構えさせない雰囲気があり、とてもチャーミングで素敵な方だと感じました。


この2日間でたくさんの知識を得ることができました。と同時に、女性学に、金井先生の新たな視点が加わり、「女性学をもっと知りたい、学びたい!」という思いが膨らんだ講座となりました。
(高島由美子)

| tsunagaletclb | 新女性学講座「女性たちの現在」 | 22:00 | comments(0) | - | - | - |
写真:新女性学講座「女性たちの現在」
 
講座の様子














講師の金井淑子さん
| tsunagaletclb | 新女性学講座「女性たちの現在」 | 20:00 | comments(0) | - | - | - |
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