つながれっとクラブ・イベントジャーナル

「つながれっとクラブ」は、名古屋市男女平等参画推進センター(つながれっとNAGOYA)指定管理者 NPO法人参画プラネットが運営しています。
つながれっとNAGOYAで毎月開催される指定管理者 NPO法人参画プラネット主催のイベントの様子をみなさんにお届けいたします!
(当サイト中、意見にわたる部分については筆者の個人的意見であって、参画プラネットの見解を表明したものではありません)
報告:シンポジウム「性の多様性から考える人権」
   
タイトル シンポジウム「性の多様性から考える人権」
と き 2012年2月19日(日)午後1時30分〜4時
ところ つながれっとNAGOYA 交流ラウンジ
国の基本計画との関連 第8分野 高齢者、障害者、外国人等が安心して暮らせる環境の整備 第11分野 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
名古屋市基本計画との関連 目標1 男女の人権の尊重 ヂ人佑弊犬方(ひとり親、事実婚、単身世帯、セクシャル・マイノリティ等)への理解促進
目標2 男女平等・男女の自立のための意識改革 Ω把蠹性別役割分担意識の解消に向けた啓発・相談
コーディネーター 渋谷典子


2月の市民交流事業は、「性の多様性から考える人権」をテーマに、基調講演とパネルディスカッションをおこないました。
中京大学の風間孝さんによる基調講演では「性の多様性と人権」のタイトルで、主にセクシュアル・マイノリティについて、基本的なことからお話しいただきました。

講演では、「セクシャル・マイノリティとは誰か」と題して、性的指向の多様さ、性別違和とは何か、性同一性障害について説明されました。次に「セクシュアル・マイノリティの抱える問題」として、無知とステレオタイプ、民族的マイノリティとの違い、ホモフォビア(同性愛嫌悪)、学校での問題、セクシュアルハラスメントの問題、健康問題、トランスジェンダーフォビア(非伝統的性表現への嫌悪)など盛りだくさんの話題でした。

風間さんは、自分の性的指向(どちらの性にどの程度惹かれるか)や性自認(身体のあらわす性と自覚する性の不一致)などに悩む学生がいることを想定し、彼らが話せる相手として、またロールモデル(生き方の見本)の一人となるべく、ご自身がゲイであることを授業でオープンにされています。

人が男女どちらの性にどの程度惹かれるかには、様々なバリエーションがあります。主なベースは異性愛だけれどまれに同性愛、のように。性的な指向は、実は広く多様なもので、ひとりひとり異なっています。アメリカのキンゼイレポートによると、完全な異性愛の人はわずか数%で、ほとんどの人はグレーゾーンに含まれるそうです。

講演のなかで、学校での問題についてふれられたとき、改めて切なく感じたのは、学童期や思春期に「ホモ、おかま、おとこおんな」などのからかいや、決めつけをされた経験が半数以上の人にあったことです。異性愛を前提とした性教育がなされる今の学校環境では、子どものうちに性的指向や性自認に違和感があっても、それが何なのかつかめず混乱し、相談することも難しい現状でしょう。周囲に打ち明けることも容易ではなく、孤立感はさらに増すのではないでしょうか。

性の多様性、セクシュアル・マイノリティについて、私たちが無知であること、誤解や偏見を抱いていることと、子どもから大人の年代に至るまで、彼らが安心感を持てずに孤立し、この同じ社会で自分らしく生きていくのが困難なことには深い関連があります。ですから、セクシュアル・マイノリティのテーマは、当事者だけの課題なのではなく、私たち自身に問われていることでもあるのです。

講義が進むうちに、頭の中で “世間が想定する枠組みから外れると、たちまち攻撃される構図”が立ち上がり、かつて経験した嫌な感じがじわじわと思い起こされました。世間に期待される女性役割の枠からはずれると、すぐに「女らしくあれ」、「でしゃばるな、おとなしくしていろ」と有言無言のプレッシャーを受ける、あの重苦しい感覚を…。セクシュアル・マイノリティの方々を取り巻く問題は、社会的少数者としての女性問題の構図と確かに共通する。多様な生き方を認め合うことの重要性が腑に落ちた瞬間でした。

後半は、尾辻孝子さん、安間優希さんを迎えてのシンポジウムです(椙山女学園大学院の後藤彩乃さんは急病のため欠席となりました)。子ども、兄弟、友人など身近な人がセクシュアル・マイノリティと知った場合、自分はどう感じるだろうか、どう対するだろうか、などと想像しながらお話を聞きました。

尾辻さんは2006年にセクシュアル・マイノリティの子を持つ親の会を立ち上げ、現在はNPO法人LGBTの家族と友人をつなぐ会の代表として、活動されています。
尾辻さんは長女が26歳のある日、同性愛者であることをカミングアウトされ、大変なショックを受けられたそうです。「これまで作ってきた家族が壊れる」と悩み、2年間誰にも言えず一人で悩まれました。

長女が府会議員になり、同性愛者であることを綴った書籍を発刊することとなって、親戚にも知られることとなりましたが、長年アトピーであった長男が語った孤立感と「家族で長女を応援するべき」との言葉で、心がふっきれたと、会の立ち上げまでの経過を語っていただきました。学校教育の中で子どもを孤立させないためにも、早くからの啓発が大切と、会の作成したパンフレットを神戸市の中高校全校に配布することができたと、大きな成果を報告されました。

安間優希さんは、現在NPO法人PROUD LIFEの代表理事として、セクシュアル・マイノリティの当事者運動をされています。安間さんには、性同一性障害の当事者の立場から発言していただきました。
男性として生まれ、中学生になって女性の服装をしたいと思い、こっそり姉の服を着ていたという安間さん。ずっと恋愛対象が女性だったのでおかしいとは思わず、ただ女装をしたいことは恥ずかしいことと感じていたそうです。高校生の頃は女性とも交際し、29歳で女性と結婚。子どもにも恵まれ、育児の熱心な父親として子育てもしました。

しかし、自分の中で性への違和感が強まり、男性としての外見と自分のあるべき姿との隔たりが大きくなっていきました。性同一性障害特例法が成立し戸籍変更が可能となった頃、女装癖を直さなくてはとずっと思ってきたのを「もう我慢しなくていいのかも」と思うようになり、パートナーの後押しもあって、2008年に女性として生きることに決め、お子さんを含めた家族や周囲にもカミングアウトしたそうです。

当時の変化を「モノクロの世界に生きていたのが、カラーの世界に変化した」と表現され、大きな喜びと解放感が伝わるようでした。「同性愛者は外から目に見えない。けれど、性同一性障害は常に自分への違和感を突きつけられるから、24時間カミングアウトしているような辛さがある」との言葉が、印象的でした。

セクシュアル・マイノリティの中でも性同一性障害が先に認知されるようになったことなど、当事者内での差別化があること、また、セクシュアル・マイノリティの人権を守るべきというコンセンサスが未だ得られていないことから、当事者が声を上げる必要性を語られました。

会場からは、セクシュアル・マイノリティの定義、性同一性障害のうち、MTF(男性から女性になった人)と、FTM(女性から男性になった人)の割合、カムアウトしたくない人にどう対するか、セクシュアル・マイノリティの原因は何かなど、パネリストの方々が答えきれないくらいの質問が寄せられました。参加者の皆さんの熱心さと関心の高さは主催者側の予想を超えたものでした。

今回、様々な年代の方々に数多くご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。風間さんがおっしゃったように、多様な性とその生き方を皆さんで考える、価値ある最初の一歩を踏み出せた第一回となりました。


(塚田惠)

| tsunagaletclb | シンポジウム「性の多様性から考える人権」 | 15:17 | comments(0) | - | - | - |
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